以下の点から学校でうさぎを飼うことはできないと思います。
一番下の項目以外はうさぎに限らず他の動物にもあてはまることだと思います。
病気・介護に対応できない
学校でのうさぎ飼育はうさぎが元気な時が前提になっているのではないでしょうか?
M小では中休みと昼休みがお世話時間として設定されていますが主にお世話をする中休みは実質15分足らずです。うさぎが元気な時ですらこれでは充分なお世話ができないはずです。ましてや病気になったときは時間が足りないことは言うまでもありません。
また、病気になったときにすぐに病院に連れていけますか。だれが連れていくのですか?また、病院から指示された投薬など(一日4回などということもあります。もちろん休日、閉庁期間もです)できる体制は整っていますか。
頻繁にお下の世話が必要になったときどうしますか?そのまま学校の飼育小屋で飼うことはお世話時間の関係で無理ですし、介護が必要なうさぎに介護をしないことは虐待になります。 では、里親に出せばいいのでしょうか?とはいっても介護が必要なうさぎを引き取ってくれる里親を探すのは困難なことです。万が一見つけられたとしても「学校はうさぎが元気な時は飼うけれど病気になったら見放す」ということになってしまい、虐待にはならないとしても無責任にはなります。感性の強い児童は傷つくのではないでしょうか。
すべての先生に動物に対する愛情・関心・知識があるわけではない
動物に対する愛情・関心・知識のない先生は少数かもしれませんが確実におられます。実際に学校で虐待飼育が行われているのが証拠です。私も実際目撃しています。
マニュアル等を作成し適正な飼育や飼育指導を心掛けることは虐待を防止する上で有効な手段かもしれません。しかし、愛情や関心はわくものであり、知識のように学習できるものではありません。
動物に対する愛情・関心・知識のない先生から動物に対する愛情や責任を児童が学ぶことはできません。学べないならまだしも自分たちの都合でお世話しなくてもいいなどの虐待飼育を学んでしまいます。
飼育担当の先生へ大きな負担がかかるか ネグレクト(虐待)か
実際の飼育現場の鍵を握っているのは飼育担当の先生です。
先ほど述べたような先生ばかりではなく動物に対しての愛情・関心・知識をお持ちの先生も多くおられると思います。
しかし、その代わりに大変な負担がかかります。それでなくても先生方はお忙しいのにです。
そのような先生でない場合は前述したとおり虐待が起きてしまうでしょう。
いずれにしても良いことではありません。
アレルギー問題
動物アレルギーや動物の食料アレルギーを持っている児童、先生、職員がいる可能性があります。今現在該当者がいなくても今後出てくる可能性はあるのです。
学校は児童の健康を守る責任があります。なんらかの対応が必要です。
その時どうするのでしょうか?里親に出しますか?それも無責任ですよね。飼育に携わる児童やアレルギーを持った児童への心の配慮はどうするのでしょうか。
学校で動物を飼わなければ問題は起こりません。
ある学校では牧草を与えず、防寒もせず、うさぎを飼育していたそうです。子どもから「うさぎさんを助けて」と懇願された保護者が牧草(食料、防寒の材料)を持って行きましたがイネ科アレルギーを理由に牧草を受け取ってもらえなかったそうです。主食をあげることができないのなら飼う資格はありません。その後、その保護者の方は里親になることを学校に提案しましたが却下・・・という悲しい結末です。
このことに関連して思ったことがあります。何年か前(2004年?)、鳥インフルエンザが流行ったときに小学校で飼われていた鳥類はどうしたのだろうかと。
このこともアレルギーと同様、児童の健康管理に関わることです。
インターネットで調べると獣医の方が以下のようなことを書かれています。(「鳥インフルエンザ 学校の動物飼育管理をとおして」より)
わが国で 78 年ぶりに発生した鳥インフルエンザ感染に伴う一連の騒動により、学校での鶏やチャボの飼育について、子どもを飼育からはずしたり、チャボ達を処分したり、元の飼い主に返す小学校が相次いで、処分を頼まれた家畜衛生や保健所の方々や地域獣医師、そして動物から離された子どもたちが、辛い思いを噛み締めている。
2 月 19 日に日本獣医師会が、学校の鶏飼育について「子どもの体の健康を心配するあまり、心の健康を軽んじるべきではない。学校における動物飼育の意義を問い直していただきたい」と「緊急提言」をプレスリリースしたとおり、鶏への処遇については、児童との関係を考慮しなければならないだろう。
「チャボを処分したり」の下りは教育機関とは思えない対応です。このような学校はこのようなウイルスが蔓延すれば、自分たちの管理責任を問われる前に「うさぎを処分」するのかもしれません。(ウイルスは変異しますので渡り鳥から哺乳類に変異してうつることもあるかもしれません。)
このような事件が示しているのは動物を飼う資格のない学校が存在しているという証拠でもあるのです。
飼い主不在
飼い主(動物の一生に責任を負う人)がいないと無責任飼育・虐待飼育になる可能性が高いのです。学校では飼い主がいません。
「なぜ虐待が起きるのか」で述べています。
一旦学校うさぎの話は横において
ここでアナロジーを使ったお話をしたいと思います。
***********************************
Aさんは○○アパートに住んでいます。
アパートの理事であるAさんはアパートで猫を飼う提案をし、他の住民もAさんに流されるままに猫を飼うことになりました。Aさんの管理の下、しばらくはちゃんと飼っていましたがAさんが引っ越すことになって猫を置いていきました。
その後、〇〇アパートに越してきたBさんが猫の面倒を少し見ていましたがもともとBさんは猫に関心はありませんでしたし、仕事が多忙でもあり飼育をしているものの十分なケアはできません。
***********************************
上記の事例で問題なのは以下の点だと思います。
1.Aさんが飼い始めにも拘わらず飼育放棄をしている点。
2.アパートという人が流動的に入れ替わる組織で飼った点。
(責任の所在が不明瞭)
では以下のように置き換えてください。
○○アパート:○○小学校
猫:学校のうさぎ
Aさん:うさぎを飼うことを決めた○○小学校の元校長先生。
Bさん:現在うさぎ飼育に関わっている○○小学校の先生方。
動物の一生に責任を負うことなく飼い始めること。
飼い始めた人が飼育(責任)を放棄すること。
責任の所在が不明瞭な組織で動物を飼うこと。
学校でのうさぎ飼育と重なります。
児童にはお世話が無理、または適さない場合がある
飼育委員さんは5、6年生が当たる場合が多いと思います。
高学年ともなればしっかりしているイメージですが実際に児童たちに接してみてかなり個人差があるのを感じます。5,6年生らしい受け答えのできる子もいますが、成長には個人差があり、幼い子もいます。そのような児童は、
故意ではないにしろ、うさぎさんの扱いが乱暴だったり、危険回避も思いつかないことがあります。具体的に私が経験した例、または伝聞した例を言いますと
・うさぎさんをだっこして下に降ろすときにそっと降ろさず上から手を放す。(理由を述べて注意しましたが反応が鈍い様子でした)
・かかりつけの獣医さんから聞いたお話ではうさぎを落としてしまった児童が過去いたそうです。
・うさぎ小屋の掃除の際、トンネルとして設置していたコンクリートU字側溝を不安定な状態で立てていました。別の児童でも見かけました。
(うさぎさんに落ちたら命を落とす大けがをしかねないので撤去しました)
・うさぎ小屋の中は資材置きと2部屋各々1匹づつのお部屋に分かれており各部屋はラッチ錠が設置されていますがあるとき、飼育委員さんが2部屋とも鍵をしていなかったため、2匹が一緒になり喧嘩して大けがをしました。
・M小の場合、飼育委員は曜日ごと4~5人の担当です。2つの部屋に2~3人入ることがあります。見ていると掃除に夢中になりうさぎさんに注意を払っておらずうさぎさんが踏まれるのではないかとヒヤヒヤすることがありました。掃除を誰かがするときには、他の子がうさぎさんをだっこするか掃除をしている子に近づかないようにするべきですがそのようなことは気がつかないのです。
その他に大人であれば気がつくことも児童には無理な場合もあります。
私が飼育ボランティアをして4日が経過したときに少なくとも2回チョコちゃんはお水の容器をひっくり返していました。学校の水容器は底が球状になった形で返りやすかったのです。すぐに底が平らな容器と交換しました。
私が来るまでの8年間何度水が飲めないことがあったのだろうかと思うと不憫です。先生であれば気がついたはずですが過去の飼育担当の先生(8年間だからおひとりではないはずです)は飼育小屋にあまり足を運んでいらっしゃらなかったのでしょう。
以下は私の経験ではなく、私と同様飼育ボランティアをしている方から伺ったことです。
うさぎさんを庭でおさんぽさせていたら思い切りうさぎさんの背中を叩いた児童がいたそうです。精神的に問題を抱えた児童だと思われますが学校うさぎは命に係わるリスクを負っているといえるでしょう。
温度管理 屋外飼育環境
学校で飼われる飼いうさぎは、ウサギ目ウサギ科アナウサギ属が品種改良されたものだそうです。アナウサギ属はヨーロッパ原産で日本にはもともといない種類のウサギです。
アナウサギの名前の通り、野生のアナウサギは穴を掘って暮らしています。穴の中では一定の温度が保たれるからです。
一方、学校ではうさぎに穴を掘らせることなく飼育しているのですから学校はうさぎが快適に過ごせる温度環境を提供しなければなりません。うさぎが快適に過ごせる温度は18~24℃と言われています。
屋外飼育の場合、この温度に保つのは無理です。
特に日本の夏は湿度も高くうさぎにとって過酷です。
また、比較的暖かい関東でさえ、冬は氷点下になります。(2018年1月は水容器に氷が張っていました。於:横浜)寒い地域はなおさらです。
結論 学校でうさぎを飼うのは無理です
以下、M小独自の問題をあげます。特殊なケースもあるかもしれませんが
他校も似たような問題があるかもしれませんので記します。
・飼育小屋の老朽化
・入口のドアが壊れており、風が吹くと外から鍵がかかり締め出されることがある。(→閉じ込め防止金具を作り対応)
・部屋のラッチ錠がかかりにくいまたは外しにくい。
(→金やすりで削り修理)
・飼育小屋の構造的欠陥
・水栓の下の汚水桝の蓋が大きな金属格子になっているため、
汚水の臭いが充満する。また、冬以外は蚊が多量に発生する。
(→マットを2枚用意し、交換して格子穴をふさいでいる)
・2部屋の内、1部屋は排水口と同じ高さなので大雨の時は浸水する。
(→大雨の際は私の家に避難させている)
・2部屋の内、1部屋はコンクリート床で寒く、足にも厳しい)
(→敷き藁、刈草、敷布などを入れている)
・L字に金網になっており風雨が入り込む。
(→シートを取り付けているが完全ではない)
・飼育小屋の位置
・校庭に面しており風の強い日は校庭の砂埃が小屋に入る。
そのせいか2匹とも涙が出やすい。
・課外活動
・校庭でマーチングバンドの練習が休日頻繁にある。
地響きがするのでうさぎさんにとっては恐怖を感じるのではないかと思います。私は子どもたちの演奏が好きです。先生方も熱心に指導されています。動物を飼わず、思い切り練習していただきたいです。